虫歯の診断

虫歯コラム

隠れた虫歯

最近、立て続けに「隠れた虫歯」に出くわした。虫歯の治療と言うと真っ先に「レントゲン」が思い浮かべられるが、世の中には確実に、レントゲンに写らない虫歯が存在する。とくに大人の奥歯に多い。

最近購入した最新の機器を使って・・・・と思いきや、診断の決め手は私の「眼」だった。

虫歯学(カリオロジーという)では、もっとも虫歯の発見に便利なのは、レーザーを使った装置でも、最新のCTでもなく、今だに歯科医師の「眼」である。科学的根拠とともに欧米の教育の場では認知されている。

ところが最近の歯科医師は皆忙しいのか、もっとも簡単でもっとも確実な「眼で診る」という発見方法が、案外いい加減になっている・・・少なくとも後輩たちのトレーニングをしていると、そう感じる。

虫歯の発見にも熟練が必要なときがある。少なくとも、見たい部位を清潔にし、唾液を乾燥させ、明るいライトの下でじっくり、時にはルーペも必要になるだろう。

症例写真

中年男性の患者さん。2週間前から凍みて、その症状が引かないと訴え来院。レントゲンでもはっきり写らなかったが、肉眼所見で最終的に削って治す治療を決定。コンポジットレジンを詰めて終了した。

この中に隠れ虫歯が

一見なんの変哲もないが、矢印の部分に虫歯を疑う

隠れ虫歯発見

乾燥すると、少しだけ黒いものが。

隠れ虫歯治療中の口腔内写真

虫歯の菌で溶かされた歯の部分をとっていく

治療終了後の口腔内写真

治療終了後。コンポジットレジンで修復(術中はラバーを使用して、乾燥術野を確保)

写真の患者さんは、実際に削って詰める治療時間よりも、虫歯を見つける時間と、そしてほんとうに削って治すべき虫歯かどうか?を判断する時間の方が長かった。

虫歯を見つけること自体、案外大変であることが分かっていただけたろうか?

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