削る虫歯、削らない虫歯

虫歯コラム

虫歯の穴に詰め物をすることを「充填(じゅうてん)治療」と呼びます。さらに大きくなり、歯の表面全体を被せる治療を「歯冠補綴(しかんほてつ)」と呼びます。

虫歯で穴が開くと、まず充填治療を考えます。充填治療では多かれ少なかれ、歯を削り、人工物を詰めます。

削る理由は主に以下2つの理由があります。

最近の虫歯学(カリオロジーと呼びます)の教科書では、充填治療と歯冠補綴のほかに、もう一つの選択肢が記述されています。

それは「経過観察と予防」です。
現代カリオロジーでは、穴が開いても、もしそれがとても条件がよくて、歯ブラシが十分に届き、口の中の環境が虫歯が進行しにくいものであるならば、すべてのケースで充填治療をする必要はなく、予防処置のみもアリ、と書いてあります。

それは「病気の治療とは原因の除去である」という、とても基本的かつシンプルな原理が再び省みられたからでしょう。

なぜ虫歯が発生するのかは、このコラムでも紹介していますが、詰め物をしてもそれは原因を除去しているわけではない、との我々歯科医の反省があります。

ただし、削ることによるメリットもあります。それは詰めものをして、歯ブラシが届きやすくなったり、凍みたりした症状を消すためだったり、外観が改善させる(とくに前歯)といった具合です。

虫歯を削るべきか、そのまま経過観察するべきかは、現代カリオロジーに精通した歯科医師ならばとても重要視していることです。

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